端から端まですべての人の関与で製品は生まれる

2010年12月13日


最近では商品のライフサイクルが極端に短期化していると言われています。
少し前までは1製品を大量に生産しなければ1個辺りのコストが高くついていたので、ごくごく限られた選択肢しか存在していませんでした。
しかし、近年では製造能力が向上し、小ロットでも低コストで生産が可能になり、売れ行きに応じてロット数を変更したり、注文に合わせてカスタマイズする事も可能になりました。
特にファッション衣料など極端にライフサイクルが短い製品にはとてもメリットがあり、機会損失を出来るだけ下げつつ在庫ロスを防ぐ事が可能になりました。しかしその一方で、細部に高いレベルでの注意を払わなければ、どんなに画期的な製品であっても簡単にコピーされたりコモディティ化されてしまい製品の価値を失う危険性があるように感じます。
コモディティ化を防ぐ為に差別化として機能やメリットの追加を考えてしまいがちですが、それらは無尽蔵に付加できるものなので、それらを追求して追加していっても、コピーやコモディティ化から逃れる事は難しいとも思います。
「人間には生理的快以上に、心理的快を望む」これは、小坂裕司氏の著書に記載されていた内容ですが、人間は合理的な部分だけで判断をくだすのではなく、より情緒的なレベルで判断をくだす。顧客にとって大事なのは、どんな機能がどれだけついているかよりも、“それがどんな感じか”ということであり、何かに出会ったという手応えを与える事が必要になってくるのではないかと思います。

製品開発とは想定ユーザーの感情を考慮に入れて、発想し、その発想を実現するためデザインや機能面で開発を行い、プロトタイプを作り完成度を高めて行く事で、適格なアプローチ、操作性の良さを向上させていく事だと思います。
本来この一連の流れは運に任せてはいけないものです。
しかし、現場レベルでは各専門の担当者がそれぞれの小さな枠の中で作業する事を許してしまっているようにも感じる事があります。時々進行状況は確認するものの互いに無関係に働き、それぞれのエクスペリエンスを偶然にまかせて作成を進める。そして最終的にすべてを合わせ形を整えようとする。

優れたデザイナーだけが優れたデザインを作る訳ではでないし、優れたエンジニアが優れたインターフェイスを開発する訳ではないと常々思います。
もっと言うなら、デザインと機能、適切なラベリングなどが意図的に考え抜かれていなければいけない。そう考えると関係者の端から端まですべての人の関与が必要なのではないでしょうか?

すべての人間がすべてのプロセスに関係する事にたいして当然ながら問題はあると思います。例えば・・・
◆どの範囲まで関係者の意見を考慮するのか?決定軸は何か?
◆デザイナーとエンジニアの関係をどう保つか?
◆余分な時間とお金をかける価値がどこにあるかをどう理解してもらうか?

など、ちょっと考えただけでも大変そうだなぁと感じるのですが
成長への力を得るには必要な事ではないかと私は思っています。

◆参考書籍


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