20140420

AdverTimes DAYS「マーケティングにイノベーションを起こす!」

2014年4月20日


宣伝会議は2014年4月に創刊60周年を迎え「AdverTimes DAYS」(アドタイ・デイズ)を開催いたしました。

「オムニチャネルにおける体験価値、ブランド価値をどうつくるか」をテーマに、広告主(クライアント)と、広告業界そして、クリエーターが共に学び共有するイベントでした。

会社の出社時間を利用し参加させて頂いたので、2日間ともマーケティングと経営という視点からお話を伺いました。

「マーケティングにイノベーションを起こす!」

Peach Aviation株式会社 代表取締役CEO 井上 慎一 氏

Peach Aviationは、ANAホールディングス株式会社の子会社として主に30代女性を主要顧客として誕生しました。

冒頭、井上さんからは当初、顧客の取りあいになるのではないかというマイナスの意見があったが、実際にはPeach Aviationが参入する事によって航空業界に新たな顧客を呼び込む事に成功したと仰られました。
通常、航空業界には「ビジネス」「旅行」「法要」の3つの要素が必須となるようです。
しかし、Peach Aviation(他の格安航空会社)の参入によって、近年4つ目の要素として「ライフスタイル」も加わったそうです。
例えば、大阪に住んでいる人が、飛行機を利用し福岡へ買い物に出かける。そしてその土地で消費行動を起こす事で、その土地が活性化する。
そいった日常が生まれてきていると言うのです。

Peach Aviationはミッションを「日本の航空事業の高コスト化を崩す。」とかかげ、単純に既存の物を安くするわけではなく、全く新しい仕組みを考える事で低コストを実現していました。
例えば・・・・

【ターミナル使用料が高い】
→LCCターミナルとして独自のターミナルを作成し低コスト化を実現
【機内紙の設置や、機内紙分の燃料費】
→機内紙をターミナル内に設置。欲しい方は手荷物として持って乗る人件費と、燃料費をコストカット
【機内提供】
→ワゴン販売を有料化しコストをカット
【機内モニタの設備投資が高い】
→機内モニタを廃止しコストカット。顧客のスマートフォン端末へコンテンツをダウンロードし使用してもらう
【従業員を契約社員採用】
→ミッションに共感できる従業員を率先して採用し低コスト化

避けては通れない親会社との差別化ですが、やはり井上さんも「親会社(全日空)と顧客の取りあいは避けたい。」と強く思われており「顧客との近い距離」というポイント全面に出しブランド化を行っておりました。
個人的になイメージで言ってしまうと、大手航空会社のCAさんは話しかけずらいテレビのアイドルに近い存在ですが、Peach AviationのCAさんはAKBの様に自分達に近い友達の様なアイドルだと思います。
どちらが良いという事ではありませんが、この明確な違いがブランドの違いを明確に分けているのだと感じました。

【ひらまの感想】

低コスト化と聞くと「必要な物を無くす」とか、「誰かが我慢する」というマイナスの考え方なってしまいそうですが、Peach Aviationの場合は、低コストを図り、プラスアルファの顧客にとってのメリットを提供している所が凄いと思いました。
また、ターミナル使用料が高いなら、自分達でターミナルを作ってしまおう!という発想は、全日空など親会社に居たら考えつかなかったのではないかと思います。
特に、バックグラウンドが違うながらもミッションを共有するメンバーは物凄い使命感があります。これが効果的に効いているのではないかと思います。
契約社員という所がミソで、創業当初はミッションに共感した若い人を集めるのには非常に効果的ではないかと思いました。
しかし、企業の永続性という所を考えると、あと数年の内に採用体制を考える必要性が必ず出ると思いますし、上手く体制を変えれないと業績にも影響が出そうですね。

株式会社HUGE 代表取締役CEO 新川 義弘 氏

株式会社HUGEは主にダズルやリゴレットの経営をはじめとしたレストラン事業をおこなっている企業です。

私も何度かお店を利用させて頂いた事があるのですが比較的、低価格の割には、雰囲気も料理も1ランク上だと感じました。また、店内も独自の世界観を感じる内装となっており満足度としては高かったです。

新川さんの言葉は非常にパワフルで、1つ1つ考えさせられる内容でした。
特に、新川さんは今後外食ビジネスは従来のチェーン構造は崩れると予想されておりました。
何処に行っても同じ味、同じサービスを受けれ事ができるのがチェーンの利点ですが、その地域、地域の特色が出ない事を懸念されておりました。
新川さんは「普段飯を豊かに」をコンセプトに、その地域、地域に合った店内のコンセプト設計や、新商品のレシピを開発しているそうです。
一見非効率に思いますが、女性の目を意識した場合、避けては通れないそうです。
女性は非常に細かいポイントに気づく。そこで合格点がもらえれば、又何度でも利用してもらえる。また来たくなる理由をどう提供するかが、重要だとおっしゃってました。
他社がやってるからやろう。では生まれない新しい価値自体を、自分達で創造していく事が必須になってくるのではないでしょうか?
そして最後に、新川さんは知識ではなく「お前わかってるなぁ」というセンスの時代がやってくるのではないかと仰られてました。

【ひらまの感想】

やはり一言で言うとパワフルでした。
話の節々に新川さんの外食産業に対する想いや、今後の展望が見えた講演でした。
特に最後の“知識ではなく「お前わかってるなぁ」というセンスの時代”という言葉は非常に心に残りました。
知識が価値があった時代から、知識を得ようと思えば手に入る時代になりました。
お作法通りが通らない変化の激しい時代では、顧客を観察し何を望んでるかが重要になってくると思います。そこで更に一歩進んで、顧客がまだ本当に課題だと認識していない課題を先に発見する嗅覚みないなものが絶対的に必要になると思います。まさにセンスの時代がやってくるんだと感じました。


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